探し出すのは人か?心か?行方不明者捜索録『認知症患者を探せ!』

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探し出すのは人か?心か?行方不明者捜索録『認知症患者を探せ!』 - 2015.06.26(金)

高齢者による行方不明事件が多発していますが、中でも問題視されているのは、高齢者特有の疾患や障害によって行方不明になる人物です。

このような理由で失踪した人物は、事故死する確率が大変高い為、早期に発見できなければ、その生存率は著しく低下していくのです。

『認知症患者を探せ』

ある年の11月。母親を探して欲しいという依頼が入ったあと、現場に向かう車の中で、いつもの様に振る舞う調査員達の顔には、ありありと緊張の色が浮かんでいました。

それもそのはずで、各員に手渡された調査指示書(調査内容が詳しく書かれた書類)には、『対象者備考:認知症』の文字があったからです。

認知症患者の行方不明は、近年に入り急増傾向にあります。当然、探偵社への依頼数も上昇傾向にあるのですが、この調査を嫌がる調査員も中には多いのです。

発見の遅れ=生存率の低下

認知症患者が行方不明になった場合、早期に発見できなければ、その生存率は劇的に下がっていってしまいます。

死亡要因で最も多いのは事故死。山道や農道をフラフラと歩いている所に車が衝突し、死にいたる事があまりにも多すぎました。

また、自身の認知症を苦に失踪したような場合には、かなりの確率で自殺を計画しており、発見には至ったものの、あと一歩で保護できた所を、寸前で死なれてしまった調査員もいるほどです。

だからこそ、認知症患者の捜索の指示が下れば、調査員達はみなそれが『時間との勝負』である事を理解し、同時にタイムオーバーをしてしまった時に迎える結末に、内心みな恐怖しているのです。

捜索開始

今回の依頼は関東近郊の農村で、失踪した認知症患者の年齢は80歳。
認知症はかなり進んでおり、自殺を計画出来る能力は無いものの、事故にあう可能性は十分すぎるほどありました。

事前に警察と消防による周辺の捜索が行われましたが発見には至らず、あとは我々による調査が依頼者にとっての最後の切り札となります。

私たちはとにかく、まずは警察の捜索が行われておらず、道路の付近の建物内をしらみつぶし探す事からはじめました。

認知症患者の失踪の特徴は、そもそも失踪のつもりが無いという事でしょう。

本当は少し外に出て家に帰るつもりが、帰り方がわからなくなり、今いる場所が解らなくなり、道路の標識や、目印となるような建物すら全てわからなくなってしまう結果、家とは反対の方向へと歩き始めてしまうという、まるで迷子のような失踪のしかたをします。

そこで、この調査では行方不明者は家にかえろうと思ったが、どこにあるのか分からず道に迷って周辺を歩いたあげく、体力的に疲れてしまい、どこか安全な場所に身をひそめているという仮説を立てました。

その仮説をもとに、住所から5キロの範囲から1班は外側、もう1班は内側にかけて、出入りが容易に出来る建物をしらみにつぶしに調べていったのです。

そうやって捜索するうちに、調査員の一人が、農家の納屋で倒れている対象者を発見。
急いで救急車を呼び、依頼者も一緒に病院へと向かいました。

その後

対象者は体力の消耗がはげしかったものの、その後無事に体力を回復し、なんとか家庭に収まる事ができました。

しかし、失踪した経緯があった事から、その後すぐに介護施設に預けられる事となったそうです。

まとめ

現在も認知症患者による失踪が続いていますが、その背景には増えすぎた高齢者と、それを受け入れられる施設の少なさなどが上げられます。

また、家庭で認知症患者を介護すること相当に難しい事ですし、24時間つきっきりで介護する事も不可能ですから、いつなんどき家から外に出てしまうかもわからないのです。

そこで、近年では首からGPS発信機入りのポーチをぶら下げさせたり、名前や住所などを書いたカードを身につけてさせるなどして、認知症患者の失踪を防ごうという取り組みが進んでいます。

もしも認知症患者の介護をする機会が訪れたならば、迷子対策だけはしっかりとやっておきましょう。