近未来の犯罪抑止法？GPS装置を用いたストーカー再発防止策とは

ＤＶ加害者、性犯罪者はその犯罪の性質上、本人の意思に関係なく犯罪を犯す可能性が高く、刑法で科すことのできる懲役期間も短いため、再び社会に出た時に同様の犯罪を犯し続ける恐れがあるとされています。

また、ストーカー行為は実際に傷害や殺人に発展しなかければ、実質上の懲役は無く、裁判所からの接近禁止命令が出されるのみで、これを破って再びストーカー行為行い、重大な事件に発展する例も少なくなりません。

このため、アメリカ、イギリス、韓国などでは、特に性犯罪の再発に努めるため、社会に戻った犯罪者の動向を追跡できる法律が存在します。

そして昨今、この様な犯罪者に対する措置が日本でも進められる動きがあるのですが、その内容はまるでＳＦ映画の様な驚くべきものでした。

ＧＰＳ（位置情報サービス）による監視

宮城県で進められつつある防止条例とは、なんと再犯率の高い元犯罪者に対してGPSを携帯させ、その位置を警察が監視するというものです。

県が公開したこの条例案に該当するのは次の人物とされています。

・13歳以下の子供に性的な犯罪を行ったもの
・女性に性的な犯罪を行ったもの
・強姦や強姦致死、傷害などを行ったもの

これらに該当する者に対して、出所後に宮城県内で生活をするものには、GPS端末の携帯を義務付け、その居場所を常時県警が確認するといいます。

また、試案には含まれていないものの、ＤＶ加害者に対しても同様の措置を取る計画もあるようです。

海外での前例

性犯罪の発生率が極めて高いアメリカでは、『ミーガン法』と呼ばれる法律が存在します。

これは、性犯罪者が顔見知りの人間をターゲットにしやすい事から、出所後の住所を警察組織が全て把握し、転居先の周辺住民に対して勧告が行われるというものです。

また、この法律は州ごとにその厳しさを変えており、性犯罪者に対して性的な欲求を減らすためのホルモン注射を義務付けていたり、住居に自分が性犯罪者であることを示すしるしなどを掲げなければならない州も存在しています。

このミーガン法はあまりに厳しすぎるとの意見も多く、今でも議論の絶えない法律ですが、これは子供を持つ親の要望や、性犯罪者の被害にあった家族などの支持もあるため、今法としての力を失っていません。

しかし、ミーガン法を利用した行き過ぎた性犯罪者の告知もあり、中にはアメリカ全土の告知されている性犯罪者の住所をリストにしてインターネット上に公開しているサイトもあり、一度服役し、社会復帰をめざしている性犯罪者の生活を脅かす危険があるという批判的な声も聞かれます。

韓国ではすでに導入済み？

お隣の韓国ではさらに厳しく、未成年の子供を持つ親や小学校や中学校の代表者には、性犯罪者の個人情報を公開できる法律が存在します。

また、2008年にはＧＰＳ端末を内蔵した足輪を刑期の終えた性犯罪者に設置できる法律が登場しており、現在までに900人程の性犯罪者が実際に足輪を付けて社会生活を送っているとされます。

ただし、足輪を付けた状態であっても再犯を犯してしまう人間も少なくなく、現在までに14人もの人間が、ＧＰＳ監視下で再び性犯罪を犯しています。

まとめ

犯罪の再犯を防ぐために、GPSでの監視は確かに必要かもしれませんが、結局は韓国の様に足輪にして、犯罪者の手では外せない状態にしなければ意味がありません。

しかし、この様な監視措置は犯罪者の人権を阻害している他、一度服役して刑期を終えているはずの人物に対して再び刑を科すに等しい行為だとして、条例の施工を目指す宮城県内の弁護士団体は反対を表明しています。

しかし、接近禁止命令を破って再び犯罪に走るＤＶ加害者やストーカーも少なく無いため、ＧＰＳを利用した措置もやむを得ない時が来てしまうかもしれません。