詐欺による損害回復は可能なのか?問題化する詐欺と探偵社の関係

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詐欺による損害回復は可能なのか?問題化する詐欺と探偵社の関係 - 2016.03.19(土)

警視庁の統計によれば、2014年のオレオレ詐欺を代表とする特殊詐欺の被害額はおよそ559億円にのぼっており、日本での詐欺被害が相当深刻化している状況にあります。

そのような状況ゆえか、探偵業界の中にも「詐欺被害回復」を謳う探偵社が何社か登場しつつあります。

しかし、本当に探偵社に詐欺被害の回復は可能なのか?
今回は業界で注目されている詐欺被害回復業務の実態について迫ってみたいと思います。

詐欺被害回復は探偵業務の範囲ではない?

『詐欺被害の回復』と謳っている以上、詐欺によって失ったお金を取りも出す必要がありますが、お金を得るための交渉は探偵業務の範囲外です。

当サイトでも何度も登場した探偵業法の定義第二条はこちらです。

『この法律において探偵業とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に関わるものを収集するこおを目的として面接による聞き込み、尾行、張り込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務を言う』
(探偵業の適正化に関する法律)

当サイトのご愛読者の方ならとっくに暗記されているこの法律が示す通り、探偵業はあくまで、あくまで『調査』してそれを『報告』するだけなんです。

ですから、被害回復のために金銭を取り戻すための示談、交渉、もしくはその他の手法(あやしげなルートからお金を返してもらう)などは、探偵の業務外なんです。

それに、示談、交渉なんて仕事は弁護士の仕事ですし、探偵ならこんな事をしたら、お友達の弁護士達に非弁行為で訴えられる可能性があるぐらい解っているでしょう。

被害を回復させる具体的な方法は?

では、探偵社は一体どの様にして被害回復を行うのか?

実際に探偵社の中で被害回復業務をいる所を調べてみると、数社の探偵社を見つけました。

しかし、どの探偵社も詐欺被害を回復させるための具体的な手法を述べていません。
ただ、どの探偵社でも共通しているのは、

『弁護士、行政書士、警察OB等と連携して調査を行う』
『詐欺被害回復のためのお手伝いをする』

といった文言で、実際には直接詐欺で失ったお金を取り戻さない様です。

また、電話等でやりとりをする詐欺の場合、その電話に被害者に代わって応対し、詐欺か否かを判断する等といった詐欺被害の予防活動を業務としている所もあります。

しかし、ここでも直接金銭を回収する訳ではありませんし、詐欺加害者を見つけるための調査などは行っていないようです。

詐欺師を見つけられるのか?

探偵社は、実際に被害金を回収できない以上、やれる事はただ一つ──そう、詐欺加害者の発見です。

しかし、詐欺グループというのは警察でもそうそう簡単に見つけられませんし、見つけたとしても数時間で場所を移動したり、グループの構成メンバーを常に入れ替えて活動しているため、警察でも簡単に検挙できない相手です。

さすがに詐欺師は『知能犯』と呼ばれるだけあって、一筋縄では行かない相手ですね。
では、警察に出来ない以上、探偵にも出来ないのかといえばNOです。

ただ、詐欺グループはあの手この手で逃げ隠れするので、その発見率は1割を切るかもしれません。

もしもそれでも構わないというのであれば、探偵社に詐欺被害回復のための調査をお願いしても良いでしょうが、はじめから『ダメもと』で頼むのが正しいです。発見できればラッキーぐらいの感覚でなければ、それこそ詐欺に合ったような気持ちにさせられてしまいます。

また、探偵社側も調査の難しさやリスクをきちんと説明しなければ、このような調査を行うべきではないでしょうし、直接お金を回収出来ると勘違いするような宣伝を行うべきではありません。

出来る事なら、こうした問題は探偵でも弁護士でもなく、税金を払って働いてもらっている警察にお願いしたいものですね。