浮気や不倫から考える、愛情って何だろう？

「浮気や不倫から考える、愛情って何だろう？」

探偵をやっていると、時折こんな哲学的命題と相対してしまう時があります。

それは勿論、探偵達は日々『浮気』という愛情への裏切行為に出会っているからであり、そこから目をそむけることが許されないのが探偵の宿命ともいえるでしょう。

しかし、多くの浮気を見ていると、私達はふと浮気の中にも間違いなく愛情という純粋なものが存在していることに気が付いてしまうのです。

配偶者を裏切るという愛情表現

不倫や浮気といった不貞行為は、婚姻関係において最大の裏切り行為と見て間違いありません。

だからこそ、浮気や不倫は許されるべきではありませんし、それによって傷ついた人達を法的になんの損害賠償権も持たないとするのは、この日本という先進国においてはまず考えられない事でしょう。

しかし、それでは浮気や不倫をする人達はどうでしょうか？
彼らの全ては本当に配偶者を裏切るつもりで浮気や不倫を行っているのでしょうか。

特にこれに関しては男女ともに、その殆どが配偶者を裏切るつもりはまったく無いと私は断言します。

一部の人間は、配偶者を裏切る事で快楽を得ている人間もいるのは間違いありませんが、それでもそれは単純なスリルや快楽を求めただけの行為にすぎず、決して家庭を崩壊させるつもりなど無いのです。

しかし、そんな人間でも不倫関係に発展すると、家族を裏切って配偶者の元へと走るような人間がいます。

特に女性は配偶者を裏切ってまで、不倫相手と一緒になりたいと考えやすく、そうした行為をみれば、たとえ家族でなくとも嫌悪感や怒りを覚えるでしょう。

しかし、そこには必ず愛情というものがあります。

浮気をしながらも妻や子供を愛している夫、不倫の結果、家族への愛情を失いつつも、不倫相手に強い愛情を抱く妻。

かれらはそれぞれ身勝手で、まるで動物のような原始的な行動を取っている愚かな人達としかいいようがありませんが、そのような倫理観や道徳観という人間が生み出した優れたルールの外側にいる人間だからこそ、生々しいまでの愛情を彼らの中から見る事ができます。

不倫や浮気を乗り越えられたなら

このように、不倫にしても浮気にしても、結局は愛情が生み出す悲劇です。そこにまるで愛情のかけらも無いような、残忍かつ冷酷な行為ではありません。

人間が人間であるための、生々しい本能が見え隠れする愛情が人を狂わせているのか、それとも、浮気や不倫という行為そのものが、本来の人間の愛というものの姿なのかは、きっと誰にもわかりません。

だからこそ、私達が常に依頼者のために調査を行うとき、出来る事ならば浮気や不倫を乗り越えて、再び互いに愛情を向けあって欲しいと願ってやみません。

まとめ

結局の所、人間は法的な婚姻や、宗教上の配偶者や、お金や地位や名誉なんてもので、男と女の間をつなぎとめることはできません。
それこそ、夫婦というのは結婚してから死ぬまでの何十年もの間を、お互いのみを愛し続けることを周囲に期待された関係です。

その最中に浮気や不倫といった過ちは当然あってしかるべきであり、浮気や不倫の事実がはっきりとわかったならば、浮気をした人間は謝り、浮気をされた人間は許し、そうして再び夫婦として残りの人生を歩んでほしいとう思うことが、浮気や不倫に関わる仕事についた人間のせめてもの願いです。

しかし、それでも人はそう上手くはいきません。

やはり動物であり、人間でもある私達は、人を許すことも、謝ることも、人生を同じ配偶者と共に歩む事も、まだまだ完全には出来ないのです。