『集団ストーカー』という言葉が持つ本当の怖さ

『集団ストーカー』という言葉を聞いた事があるでしょうか？

これは複数人の人物が同時に一人の人間をつきまとう行為でもあるのですが、その殆どは誇大妄想の一つであり、その妄想がもたらす被害が、最近密かな社会問題として浮上しつつあります。

なかでも、兵庫県淡路島で起きた事件は凄惨を極め、集団ストーカー被害妄想がもたらす危険な現実を多くの人々が認識しました。

では、集団ストーカー妄想がもたらすものとは何か？
今回はこの問題について考えてみたいと思います。

淡路島5人殺人事件

2015年3月9日、兵庫県淡路島で5人が突如刺殺されるという恐るべき事件が発生しました。
この事件では、犯人は近所に住む男性宅に押し入り、その家族を刃物で襲いました。

この時、現行犯逮捕された洲本市在住の平野達彦容疑者（無職・40歳）は、インターネット上に奇妙な書き込みを書き続けていたのです。

不可思議な書き込み

平野容疑者はTwitter等を利用し、「集団ストーカー犯罪」や「テクノロジー犯罪」などの被害を受けているとして、その犯行などを主張。

プロフィールには「日本に来訪の外国人や日本国民全員をスパイとして使用する為に、日本政府は何十年も前から各地で電磁波犯罪とギャングストーキングを行っています。日本政府は米軍ユダヤと共謀しています」などと書き、一日に70件程の書き込みを毎日繰り返しています。

さらに、犯行前日には「人類の的である」として、殺害に及んだ男性宅の一家全員の個人情報を公表し、「電磁波平気で他人の心をのぞき見と洗脳」しているとして、一家の批判を行っていました。

また、犯行に及んだ一家以外にも、何名かの人物を「工作活動を行っている」として、その個人情報を公表し、攻撃的な文章を書きこんでいました。

また、被害者一家は事件前、平野容疑者を「Twitterの書き込みは人権侵害に当たるのではないか」として警察に相談をしていたとのことです。

集団ストーカー妄想の真実

集団ストーカーという言葉は、別名『ガスライティング』と言われ、同名の映画で主人公が死に至った原因が元ネタとなっています。

その後、インターネットを中心に被害を訴える人々が現れはじめ、現在では日本だけでも相当数のサイトやブログ、SNSアカウントが存在しています。

インターネット上で主張される被害内容の多くは「巨大な組織が自身を監視している」として、朝鮮連盟、ユダヤ、秘密結社、軍、政府、宗教団体など名指しで批判しています。

また、ストーカー被害を訴えるため、その証拠として様々な画像や動画を上げている事もあるのですが、その内容は全て決定性の掛けるものであり、中にはいわれの無い罪で周辺住民を脅迫する様子が写されているものもあります。

集団ストーカー問題は、インターネットの普及と関係がある？

かつて、陰謀論や陰謀説などをとなえる人間はいても、集団ストーカーを訴える人はそう多くはありませんでした。

しかし、インターネットの普及により、多くの情報が簡単に手に入るようになると同時に、集団ストーカー妄想を抱く人々が増えていきました。

これは、もともと何らかの被害妄想を持つ人間が、その得たいの知れない恐怖に形を与えるため、自ら恐怖の対象を探す対象がインターネットに移ったためとされます。

ネット上には様々な陰謀論が溢れており、とくに日本では右翼、もしくは左翼的活動を行う人々が流布する情報が、被害妄想を持つ人間の恐怖を具現化する事に大きな影響を与えてしまっています。

これもまた、情報が氾濫するインターネット社会の問題の一つ。
集団ストーカー妄想を抱いた人も、またネットの被害者でもあるのです。