ストーカーは再犯率が高い？低い？再犯を防ぐための取り組みについて

日本におけるストーカーの再犯率に関するデータについては、未だ正確なものが集まっていない現状があります。

2014年の警視庁の発表によれば、ストーカーの再犯率はおよそ1割弱程度に留まっているものの、そのデータは半年以内の再犯率に留まり、長期的な再犯率については正直にいってデータ不足としかいいようがありません。

また、ストーカー犯罪に対して積極的な取り組みをしている事で知られている兵庫県警ではストーカーの再犯率は６人に１人という数字も出て居ます。

また、世界的にみればストーカーはおよそ２０～３０%の再犯率が平均値であるという考え方もできます。

ストーカーの危険性は再犯率ではない

ストーカー犯罪は再犯率の高さよりも、その犯罪の性質が最も危険視させている所です。

その理由としては、ストーカー犯罪は金銭的利益を得るために行っていない所です。
その他の犯罪の殆どは、金銭を得るために行われているため、他の事で金銭が得られれば犯罪に走る事もなく、犯罪のリスクを常に意識して行動しています。

しかし、ストーカーは自身の妄想や執着心や復讐心によって行動するため、法的措置や実刑判決といったリスクすら無視する犯人が殆どです。

さらに、同じ人物を執拗に付け狙うため、服役を終えた後も、同じ相手を付け狙う事が多いとされています。

ストーカーは本当に再犯率が高いのか？

警視庁の発表によれば、日本国内の成人の再犯率はおよそ５０%前後と言われています。

中でも最も高いのは窃盗罪であり、その再犯率はおよそ44.7%と極めて高く、続いて覚せい剤取締法違反が41.6%でした。
また、傷害罪などは二年以内の再犯率が40％と高い事も解っています。

つまり、ストーカー犯罪のみが驚くべき再犯率を誇っているわけでは無いのです。

なぜストーカー犯罪は再犯を恐れられるのか？

データの不足のため、正確な数値が出ていませんが、警視庁の発表である『1割』がストーカーの再犯率とすれば、他の犯罪に比べてもそれほど高い再犯率を誇っていない事になります。

しかし、ストーカー犯罪が他の犯罪と大きく違う事は、同じ人間をリスクを度外視して付け狙い、自分の目的が達成するまで諦めない執拗さにある部分です。

また、ストーカーとして警察に訴えられたり、自身がストーカー扱いをされた事で激情し、相手を殺害してしまうケースも多く見られる事から、警察からの警告や裁判所からの接近禁止命令が出された後、さらにストーカー行為をエスカレートさせるケースが最も危惧されています。

また、ストーカー犯罪は軽犯罪の一種と言う認識が強いため、服役する事もなく、小額の罰金や接近禁止命令、または厳重注意ですまされる事が多いので、再犯を防ぐための措置が何もなされていない現状にあります。

ストーカー行為は法律で止められない？

ストーカー行為をする人間の大半は、自身がストーカー行為をしている事を自覚すれば、自然とその行為を止めて行くものと思われます。

その根拠には、警視庁が発表しているストーカの総件数２万を超えているのに対して、その後再犯を繰り返し、凶悪犯罪に発展するケースが少ない事からも窺えます。

しかし、これはストーカーが安全なものである証拠ではなく、大半の人間が軽度のストーカーである事を示しているにすぎません。

まとめ

ストーカーの再犯率についてはさらなる調査、研究が求められる所ではありますが、犯罪の性質上、法的措置以外の手法でストーカー行為の再犯を防がねばならない現状にあります。

そのためには、ストーカー加害者のケアや更生施設も必要不可欠でしょう。また、再犯を防ぐための治療・更生プログラムを作成したり、ストーカー加害者の周囲の人間も、ストーカー行為の再発を防ぐための日常的な努力が必要になるかもしれません。

なんにせよ、ストーカー加害者を減らすためには、警察に全てをお任せするのではなく、社会全体で取り組んでいかなければいけない問題である事は、すでに明白な事実なようです。